「ビルメン4点セット」とは?難易度とオススメの受験順番を紹介!

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「ビルメン4点セット」とは、ビルメンテナンス業界で働くために必要とされる4つの主要な資格を指します。具体的には以下の資格です。

第三種冷凍機械責任者

冷凍機械の保守やメンテナンスを行うことができる資格です。保守やメンテナンスの対象は冷凍倉庫・冷凍冷蔵工場をはじめ、スーパーの冷凍冷蔵ショーケースや、冷媒を圧縮する工程が含まれるために空調機器もその対象になっています。

第二種電気工事士

小規模の事業所や一般家庭などの電気工事に従事できる資格です。電気に関する知識と技術が必要で特にビル内の電気設備の安全管理が重要です。

二級ボイラー技士

施設内にある、ボイラーを正常に運転するため点検や管理、修繕に従事できる資格です。

危険物取扱者 乙種4類

ガソリン・灯油・軽油など身近な液体危険物を扱える資格です。上記の液体危険物は、ビルメンにおいては主に非常用発電機とボイラーの燃料に使用されています。

これまでビルメン4点セットを紹介してきましたが、現在ではビルメン4点セットに消防設備士を加えて「ビルメン5点セット」と呼ばれることもあります。

便宜上ビルメン4点セットと記載していきますが、消防設備士を追加したビルメン5点セットのことだと思って読み進めてください。

消防設備士 乙種6類

消防設備の点検・整備が行える資格です。消防設備士は取り扱える設備ごとに、1類~7類に特類を加えた全8種類に分類されています。この中でも特にビルメンに必要とされるのは、乙種4類(自動火災報知設備)と乙種6類(消火器)です。この2つの設備は必ずと言っていいほどビルに設置されているので資格の価値は高いです。

優先度・難易度・需要

以下がビルメン4点セットの優先度・難易度・需要の一覧です。

それぞれについて細かく解説していきます。

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資格優先度難易度需要
第三種冷凍機械責任者
第二種電気工事士学科:
実技:
危険物取扱者 乙種4類
消防設備士 乙種6類
二級ボイラー技士

第三種冷凍機械責任者

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優先度
難易度
需要
資格手当額¥2,000

優先度

第三種冷凍機械責任者(冷三)の優先度はビルメン4点セットの中で最も高いです。

これは、冷三が「現場で役に立つ!」とか「この資格は食いっぱぐれない!」とかそんな理由ではありません。冷三の優先度が最も高い理由は、試験が1年に1回しか実施されないからです。

なので効率的にビルメン4点セットを揃えていこう思ったら、この冷三を中心とした勉強スケジュールを組んでいく必要があります。ちなみに、年1の試験で何としてでも合格したいという方は、2万円程度の講習を受けることで「法令」科目が免除されるので、勉強コストをグッと下げることができます。

難易度

冷三の難易度はビルメン4点セットの中では最も高いです。というよりかは、他の4点セットの資格の難易度が低いので、相対的に冷三が難しく見えるだけで決して受からない資格ではありません。過去問を数年分理解しておけば十分独学で合格できます。

ただし、冷三は非常にクセのある試験ではあります。実際に解いてみるとわかりますが、とてもいやらしい選択肢の構成となっています。皆さんはどんな試験でも当たり前のよう「消去法」って使いますよね。ところが冷三は「消去法を使って解答しようとするなんてけしからん!」と言わんばかりの問題構成となっています。試験問題自体の難易度というよりかは、この問題構成のせいで難しく感じてしまいます。

需要

冷三の需要はかなり低いです。その理由は冷凍機械や空調設備の技術が進化したために有資格者の必要性が低下したからです。従来の手動での管理や運転に代わり現在では、自動化やスマート化が進んでいます。

正直、冷三が必要な現場を見たことがありません。

冷三についてここまで聞いてピンときた方もいるかと思いますが、冷三は非常にコスパの悪い資格です。難易度がそこそこ高い割に需要が少ない、そして試験も年1回と受験機会も少ない……

正直、冷三は資格手当を貰うため4点セットを揃えるために仕方なく取得する資格といっても過言ではありません。

第二種電気工事士

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優先度
難易度(学科)
難易度(実技)
需要
資格手当額¥3,000

優先度

第二種電気工事士(電工二種)の優先度はとても高いです。

難易度・需要・受験機会全てのバランスがよく、ビルメンとして働くなら間違いなく持っていて欲しい資格です。効率的にビルメン4点セットを取得するということを大前提としているので、受験機会の関係で冷三を最優先としましたが、電工二種を最優先としてもいいくらいに優先度の高い資格です。

難易度

電工二種の難易度はトータルで低いので独学で十分合格可能です。

「トータル」と表現したのは、電工二種は学科試験実技試験の両方の試験に合格する必要がありそれぞれで若干難易度が変わるからです。それぞれの試験の難易度について解説していきます。

学科

学科試験の難易度は低いです。試験問題のほとんどは、過去問から出題されるので「アンペアってなに?」「オームの法則ってなに?」という方でも独学で十分合格可能です。

実技

逆に実技試験の難易度はやや難といったところです。実技試験は実際に手を動かして工具を使用して作品を完成させる試験です。そして、この完成作品にはミスが許されません。

例えば、完成作品の配線が間違えている・ケーブルが短いなどの小さなミスが1つでもあると一発で不合格となってしまいます。技能試験自体は対策すれば誰でも合格できる試験なのですが、技能試験特有のプレッシャーからミスを起こしてしまう可能性があるためやや難となります。

需要

電工二種の需要はビルメン4点セットの中で最も高いです。

コンセントや配線を少しいじったり照明器具等を交換する程度の軽微な電気工事は自前で行う際に約に立つ資格です。

また、ビルメンとしてだけではなく「電気工事士」として働くこともできるので、転職・就職に強く食いっぱぐれない資格といえます。

危険物取扱者 乙種4類

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優先度
難易度
需要
資格手当額¥1,000

優先度

危険物取扱者 乙種4類(乙4)の優先度は高いですが急いで取るほどでもありません。イメージとしては、冷三と電工の受験スケジュールを決めた後に、その隙間を埋めるように受験するのがオススメの取り方です。

乙4は受験機会が多く、地域によって異なりますが大体試験は月に1~2回実施されているのが特徴です。

難易度

乙4の難易度は低く独学で十分合格可能です。試験問題は過去問題の焼き増しなので、過去問中心の学習で合格できます。

個人的には4点セットの中で最も簡単な資格が乙4です。

需要

乙4はビルメンとしての需要はそこまで高くありません。

かつては、ボイラーの燃料として重油を扱う関係で乙4は必須の資格でしたが、ボイラーを扱う現場が減少したことに伴い乙4の需要も低くなりました。

しかし乙4はとても汎用性が高い資格なのでビルメン以外の業界での需要はとても高いです。例えば、ガソリンスタンド、燃料や化学物質を運搬するドライバー、化学系メーカーなどです。

乙4は電工二種のように持っているだけで食いっぱぐれないという資格ではありませんが、他業種に転職する際にはアピールポイントとなります。

消防設備士 乙種6類

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優先度
難易度
需要
資格手当額¥1,000

優先度

消防設備士の乙種6類の優先度は乙4と同じで優先度は高いですが急いで取るほどでもありません。というのも、実は消防設備士は乙4と同じ団体が試験を実施しているので、出題形式や難易度、受験機会などがほぼ同じなのです。

ここからはさらに消防設備士の中の優先度について解説していきます。

冒頭で消防設備士の中でもビルメンに必要とされるのは、乙種4類(自動火災報知設備)と乙種6類(消火器)と記載しました。

2つも取らなきゃいけないのか……

と思われたかもしれませんが、結論、最初は乙種6類(消火器)だけで十分です。

まずは乙種6類を取得した後に余裕が出来てから甲種4類にチャレンジしましょう。

難易度

消防設備士乙種6類の難易度は低く独学で十分合格可能です。

需要

消防設備士はビルメンとしての需要はそこまで高くありません。

乙種4類(自動火災報知器)、乙種6類(消火器)の点検が行え、この2つの設備はビルの中に必ずと言っていいほどに設置されています。しかし、実際のところこれらを自前で点検することはほとんどありません。なので、ビルメンにとっての消防設備士の価値は資格手当と少しの予備知識を身に付けるための資格となります。

ただし、電工と同様にこの資格を持っていると「消防設備士」として働くことができるので、転職・就職に強く食いっぱぐれない資格といえます。

二級ボイラー技士

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優先度
難易度
需要
資格手当額¥1,000

優先度

二級ボイラー技士(ボイラー二級)の優先度はビルメン4点セットの中で最も低いです。

試験は簡単であり受験機会も月1回程度あるのですが、何といっても需要が無いので優先度が低いです。後述しますがボイラーがある現場が少なくなっていることに伴い資格の需要も下がってきています。

また、ボイラー二級を取得するためには試験合格に加え講習の受講がほぼ必須となります。この講習は3日間連続で行われることに加え受講料が\24,000程度となかなか高額です。「仕事を休んで3日間連続で受講料の高い講習を受講してようやくゲットした資格の需要がほとんど無い」こんな資格取りたいと思いますか?

僕は今年ようやく重い腰を上げてボイラー二級を取りました。手間とお金をかけてまで取ろうと思った理由は、「資格手当がもらえるから」と「何となく4点セットが揃っていないのが気持ち悪かったから」です。

大前提として、ビルメン4点セットを揃えることをオススメしているのでボイラー二級も紹介しましたが、本音を言うと取っても取らなくてもどっちでもいい資格です。

難易度

ボイラー二級の難易度は低く独学で十分合格可能です。

試験は過去問と同じような問題が多く出題されるの、過去問中心の学習で合格できます。

需要

ボイラー二級の需要はかなり低いです。その理由は冷三と同様に有資格者の必要性が低下したからです。従来のような取り扱いに免許が必要だったボイラーから危険の少ない免許不要のボイラーに代わったり、給湯器を並列に繋いだ形態などに置き換わってきています。さらに言うと、乙4や消設備士のように他業種で活かせる資格でもありません。

ボイラー二級も冷三と同様に、資格手当を貰うため4点セットを揃えるために仕方なく取得するのが資格となります。

個人的には今後消えていく資格の1つだと思っています。

勉強時間

ビルメン4点セットの勉強時間の目安は以下の通りです。

勉強日数は、1日1時間勉強した時の日数です。

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資格勉強時間勉強日数
第三種冷凍機械責任者60時間2ヵ月
第二種電気工事士60時間2ヵ月
危険物取扱者 乙種4類30時間1ヵ月
消防設備士 乙種6類30時間1ヵ月
二級ボイラー技士30時間1ヵ月

単純計算すると最短7ヵ月で5つの資格を揃えることができます。しかし、電工二種に技能試験があることとボイラー二級で講習を受講する必要があることを考えると、実際にはもう少し勉強時間が必要となります。

勉強慣れしているかやモチベーションなどを諸々考慮すると、1年間でビルメン4点セットを揃えていくのが現実的です。

試験日程

ビルメン4点セットの試験日程は以下の通りです。例年この試験日程で実施されています。

冷三が年1回、電工二種が半年に1回、その他は毎月試験が実施されているというイメージを持っていてください。

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資格試験日程
第三種冷凍機械責任者11月
第二種電気工事士上期:筆記5月/技能7月
下期:筆記10月/技能12月
危険物取扱者 乙種4類毎月
消防設備士 乙種4類・乙種6類毎月
二級ボイラー技士毎月

受験スケジュール

優先度・勉強時間・試験日程をおさえたところで次は、勉強スケジュールを解説していきます。最短でビルメン4点セットを揃えていくためには、勉強スケジュールを作成して効率的に受験していく必要があります。

さて、優先的に取得すべき資格については解説しましたが、必ずしもこの順番で取得する必要はありません。というよりできないパターンの方が多いかもしれません。なぜかというと勉強開始日の兼ね合いで1番最初に取るべき資格が変わってくるからです。

例えば、最優先で取得すべきは11月に実施される冷三と紹介しましたが、12月からビルメン4点セットを揃えていこうと思った方が来年の11月に実施される冷三を最初に取るのが効率的といえますか?この1年間で他の資格が取れそうな気がしますね。

それじゃあ次に優先度の高い電工二種がいいかな?

結論、電工二種でもありません。12月から勉強をスタートして5月の電工二種(学科)を受験するとなると勉強時間は半年間とることになりますが、これは勉強し過ぎです。電工二種の筆記であれば1ヵ月もあれば十分合格できるのに、半年も勉強するの時間の使い方としては効率的ではありません。

ということで12月から勉強を始めた方が、1番初めに取るべきは危険物取扱者乙4か消防設備士乙種6類となります。なんならこの2つとも取れるぐらいの余裕すらあります。

このように、大まかな取得順番を意識しながらケースバイケースで取得していくことになります。

勉強方法

ビルメン4点セットは意味があるの?

皆さんはビルメン4点セットについて、こんなことを目にしたことはありませんか?

「ビルメン4点セットがあれば食いっぱぐれない!」

「ビルメン4点セットがあれば転職は余裕!」

これについては結論、目的によります。何とも歯切れの悪い結論となってしまいましたが、ビルメン4点セットは目的によって意味があったりほとんど意味がなかったりします。

どんな場面で意味があって、どんな場面で意味が無いのか4つの場面に分けて解説していきます。資格というのは持っていてもマイナスになることはありませんが、過信しすぎてはいけません。

資格手当

資格手当の面でビルメン4点セットは大いに意味があります。ビルメン業界では様々な資格が必要とされるため、会社が指定する資格を持っていると断続的に毎月手当が支給されます。この手当額は資格の種類や難易度により異なりますが、1,000円~10,000円であるケースがほとんどです。

僕が資格を取ってきた理由の9割がこのためです!

冷三とボイラーは実務的にも需要的にも取る意味はほとんど無いのですが、資格手当という面では十分意味のある資格となります。資格手当がもらえるというのが、資格ビルメン4点セットの意味を最も感じる瞬間です。

資格取得のモチベーションは「資格手当目当て!」とするのがオススメです。まずは目先の手当目当てでコツコツ揃えていけば、数年後昇進や転職を意識する頃には、十分戦えるぐらいの資格は揃ってきているはずです。

昇進

勤めている会社での昇進においては、ビルメン4点セットがアピールポイントとなります。多くの会社で昇進の基準に特定の資格取得を設定しているパターンが多いからです。

ただし責任者レベルまでの昇進には、電験三種・ビル管などの難関資格、電工一種や消防設備士甲種などの上位資格が必要であることが多いです。ビルメン4点セットの資格だけで昇進できるのは、せいぜい中の上くらいのポジションまでとなります。

実務

実務的な面で見るとビルメン4点セットはほとんど意味がありません。なぜなら先述したように現在の現場でこれらの資格が活かせるような現場は減少しているからです。

そんな中でも強いて言うなら、電工二種がまだ役に立つといった感じです。業者に依頼するほどでもない、コンセントや配線を少しいじったり照明器具等を交換する程度の軽微な作業を行う際に電工二種が役に立ちます。

転職

転職にはビルメン4点セットが大きな武器となります。転職時に資格はパスポート的な役割を持ちます。面接であれこれ話さなくても、取得した資格を見ればその人の「賢さ、知識量、何ができるのか」などが面接官に一発で伝わるので転職活動が有利に進みます。また、「定めた目標に対してしっかり結果が出せる人」という点もアピールポイントにも繋がります。

また、異業種からビルメンに転職する際にも4点セットは大きな武器となります。基本的にビルメン業界は20代・30代が不足していて40代でも若手扱いです。そういった業界構造なので、未経験・40代・50代でもビルメンへの転職のチャンスが十分ある中で、4点セットがあればチャンスが広がります。無資格の30代より、4点セットが揃っている40代の方が重宝されるパターンもあります。

なので、将来的にビルメン業界で働くことを考えている方は、保険的な意味も込めて今のうちから4点セットを揃えることをオススメします。

ただし、4点セット持っていれば転職で無双できるわけではないので注意してください。4点セットが揃ってようやく資格の面では1人前だなというイメージです。

まとめ

ビルメン4点セットとは、第三種冷凍機械責任者、第二種電気工事士、二級ボイラー技士、危険物取扱者 乙種4類、消防設備士乙種6類の総称。

難易度と需要を考慮すると優先度に取るべきは、電工二種。

どの資格も難易度は簡単~普通。

1年間で独学で4点セット揃えることは十分可能!

4点セットは実務的な面では役に立つことはほとんどないが、昇進・転職に有利。特に資格手当

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